超訳 鴎外の知恵
私は森鴎外を“鼻につくエリート”とイメージしてあまり好きではない。
先日、私はこの本を買った。
かつて森鴎外がセレクトし翻訳をした、外国の偉人たちが提言した処世術や金言格言を現代文のカリスマ講師、出口汪氏が現在の言葉で編訳した本です。
中身は何か自分がつまづいた時に紐解いて読むだけになりそう(笑)この本の読みどころは冒頭の「はじめに」というページ。
森鴎外の生涯、人物像がコンパクト且つ明快に紹介がされている。
私がそうであったように、森鴎外という人は順風満帆でエリート街道まっしぐらで生きた人と“誤解”をされているようでした。出口氏はそんな誤解を説くように、森鴎外の挫折・苦悩・反抗などのエピソードをあげながら、余りある才能の持ち主ではあったけど結局、時代や人間関係の狭間で揺れ動く一人の男であったと紹介している。
なるほど・・・
宮本浩次(エレファントカシマシ)の書く詞のそこかしこに、森鴎外が点在しているではないか・・・憧れてやまない彼の姿が・・・。
この本の『人生の英知』という章に、
「自分が理想とする英雄と競い合え」
という文言があった。
つまり、宮本浩次にとって森鴎外はこれにあたる人物だったのでしょう。「模範」とするのではなく、競い合う英雄・・・競い合って勝てる相手ではないとわかっていても、自分を奮い立たせることができるのが英雄的気性だと・・・。
まったくもって腑に落ちる!
宮本が文豪たちの年譜と自分の年齢と照らし合わせて生きている(いた?)のがよくわかる。
ビル・ゲイツと自分を並べて話す意味もよくわかるのでした(笑)