『RAINBOW』を聴いて
エレファントカシマシ通算22枚目のアルバム。
前作「MASTERPIECE」から、3年半。この3年半を長かったと思う人もいれば、意外とそうでもなかったと思う人も…人それぞれ使った時間の密度が違うから、印象はそれぞれだと思うが私は後者の方。
私は発売日の前日に『RAINBOW』を手にした。
18日の夕方、仕事帰りに初めて聴く。
1.3210
旅に出かける夜明けを感じました。
壮大な大地に太陽が昇って、遥か遠くから音楽隊がやってくる…今から新しい音楽の旅路に向かうそんな感じ。
2.RAINBOW
初めて日比谷野外大音楽堂のLIVEで聴いた時の衝撃。
疾走感、音や声の瑞々しさ…かといって宮本が若かった頃の声とはまた違う。生まれたばかりの無垢な声。
なのにその声で歌い上げる歌詞は、時間に逆らえない“老い”への憂いや過去への回想。
宮本の歴史が走馬燈のように歌われている。そんな気がした。
3.ズレてる方がいい
生きることは、人生とは戦い。
理想を胸に抱きながらも逆らえないしがらみの中で、帳尻を合わせ立ち振る舞ってこのまま敗れ去るのか?そんな不安。
でもまだ、虚勢を張って踏ん張っていられると信じてる頃。
4.愛すべき今日
ドラクエ7を思い出した(笑)
一度、ゲームをクリアした後に登場する「謎の異世界」ここに行くと“神様”が登場する。この神様と戦うことになるんだけど、めっちゃ強いわけ。でも、倒したことで得られるアイテムで更に別の異世界に行って冒険が続くの。
宮本の旅はまだ、神のいる異世界へ向かうためのアイテム探しなのかもしれない。
5.昨日よ
私が思うに宮本はこれまで(数年前まで)、過去の事はなかったことにして前(未来)だけを見て歩き進んできたのではないかって。
振り返っても戻れないならば進むしかあるまい…を頑なに貫いてきた。でも、おそらく何か落ち込むような時があった時は、そっと思い出の引き出しを開けてみていたに違いない。
歳を重ねるとその引き出しを開けてみる頻度が高まる。すると、どんなに苦しく悲しい思い出もなぜか時間が美しいものに変えてくれる。逆にこの一瞬の出来事も明日には美しい記憶になる…そう気がついてこれからも信じれる自分になれたことを歌ったのではないかな?
一瞬、ネガティブな歌に聴こえるけど…
6.TEKUMAKUMAYAKON
その答えがこの曲につながっている気がする。
7.なからん
一種の“悟り”の歌だなと感じた。
自分に残されたものはあともうわずか、過酷でつらかったあの頃でさえ楽しく思い出され、そういう時間はもう訪れないだろう。そして、残されたわずかのものを保ちながら、彷徨って流されていくのかもしれない…だけど、「誰か俺のために 呼び返してくれ」と、叫ぶ心に敗北はないなって感じた。
その叫びが、村山☆潤さんを呼び寄せたのだと思う。
8.シナリオどおり
この曲を聴いたとき「古典的なロック」を感じた。
なのに古臭さはまったく感じない。今までのエレカシにはない感じのバンド感がむしろ、新しさすら感じさせた。
9.永遠の旅人
テーマはいつもの宮本論調。この曲もちょっと昔のロックな感じ。
それがエレカシのグルーブ感をものすごく素敵な形で表現された曲ではないかな。今までは宮本だけが「一人行く」感じが多かった気がしたけど、この曲からはエレファントカシマシが肩組んで確実に前進していくイメージがとてもしました。
10.あなたへ
アルバムの流れでこの曲がきたのは、これから進んでいくためのみんなへの報告ソングのように思った。
シングルが出たときの感想は⇒http://www.kanshin.com/keyword/...
11.Destiny
シングルが出たときの感想で、運命の三女神は、三人の女神(クロートー、ラケシス、アトロポス)が一柱で“Moira”という女神を通してこんなことを書いた。
時々、なんの苦労も不安もない日常なのに…言葉では説明のしにくい絶望感を抱いてしまい、このアトロポスが動き出しそうなことがあります。いっそのことこの糸を切ってしまえば、何か楽になるのではないか?というような衝動的な感情です。
でも、「Destiny」と「明日を行け」を聴くとどこまでいっても、お日様が昇る明日を信じ、求め生きてる宮本がいるとわかって、改めて私も同じ朝を迎えたい・・・って気持ちになれました。
最近は宮本の隙のない前向きさに苦しくなってしまうことが多かった。弱い自分を見せながらも力強く生きようとする表現が・・・。そもそも、私もうっとおしいくらいに前向き人間でしたけど・・・。
だけど、私もやっぱり生きていく。宮本が歌っているように「明日を求める気持ちだけで」生きようと思う。 宮本が明日を求め生きてくなら、私も同じように生きようと思う。
12.Under the sky
「Destiny」でこんな感想を感じていた自分にとってこの「Under the sky」の流れは、本当に奇跡的ですよ。
歌詞の一小節目にそのすべてが歌われていて…。
13.雨の日も風の日も
だから、私も少しの雨や風や雪の中ならあなたに会いに行くよ。台風接近中も会いに行ったしね(笑)
これは宮本の「宣誓」ソングなのだな…って思うの。何があっても歩いてつかみ取りたいものをつかんでいく宣言。
虹は雨が降ったあとの空気中の水分に太陽の光があたって生まれる現象。夜だって月の灯りで虹が出ることもある。風が吹いて雨が降っても光を求めていれば鮮やかな虹を作りあげることができるんだ!そんなアルバムではないでしょうか?私はそんな感想を抱きました。
11月16日 のつぶやき
作品は飾られて見られて成長する…音楽も演奏して聴かれて成長する…
最近の読んだ雑誌で宮本はエレファントカシマシを「ライブバンド」と頻繁に言っている。みんなの前でたくさんパフォーマンスしてくれる。そんな気がします。「雨の日も風の日も」のイントロはそんな出発のファンファーレなのだと、私は信じます。