大好きな文豪の生涯を壮大な曲にのせ、朗々と歌い上げた名曲
『歴史』
この曲が完成されるまでの過程がドキュメンタリー映画『扉の向こう』で紹介されている。「俺の道」で
気迫の無い時間帯
でも 信じることは忘れるな
と、歌うミヤジ…。次に出したアルバム『扉』のドキュメンタリーの映像の中の気迫は凄まじい。 先の行方を見据えたように「どうせなら、好きなことを歌詞にしよう」という、そんな目論見にも感じる。
森鴎外の歴史を歌にしたわけですけど、わかる人にはわかる、わからない人には全く興味のない内容の詞に、担当者も困惑しただろう…しかも、ファンの間でも歌詞が入る前のスキャット版*1好評だ。
そのスキャット版のままミヤジはフェスで披露してしまうなど、この頃のミヤジの心の中、行動は傍の人間には到底理解できなかっただろう。
歌詞無しの「歴史前夜」はこちらで聴けます。
また、COUNTDOWN JAPANで新曲のみ(「扉」収録曲)をやったことで、主催者責任者S氏からお𠮟りを受けたというエピソードも…。しかし、とりわけ曲のすごみは最高でファンの間で好評になるのは納得。アルバムの1曲目に堂々と鎮座するにふさわしい。成ちゃんのベースに鳥肌が立つ…。
ミヤジは文豪の生きてきた道筋を年譜を見ながら、自分の歳と重ね合わせていた…。森鴎外の生涯をみて、自分の生涯をイメージしたのかもしれません。
エレファントカシマシの歴史もデビューから数えたら30年。
メンバーの歴史も半世紀…一人ひとりにも様々な出来事があって、しかもかなり濃い歴史なはず。
さて、森鴎外は60歳で亡くなっている。50歳と言えばもう晩年なのである…晩年の鴎外は作品には凄味が深まるが、人物としては穏やかになっていたと歌っている。宮本浩次も昔で言えば晩年です。最近、届けられるミヤジの情報を見るに…大変、穏やかになっていると思いませんか?
彼は負けたんだろうか?
なので、これからの作品だって凄味のある攻めたものになるのではないか?と、私は大きな期待を抱いているのであります。
この曲を初めて聴いた時にドキッとしたのが、
“死に様こそが 生き様”
私はそれこそエレカシに出会う前から、生きている間にどのくらい徳を積んだかで、死んだ時に真価が問われると思っていた。多くの先輩を見送ってきたけれども、尊敬する人は皆、存命中に捧げた人への思いやりややさしさが、死相や集まる人達の言葉で表れる。死んでからじゃ遅いと思うこともあるけど、それが人々の心の中にいつまでも生き続ける真価なのだと私は思っています。
そのために…私はもっとやさしくなりたい(笑)
*1:仮歌