また、あした…

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エレファントカシマシ@日比谷野外大音楽堂 2023(配信組)

あれから10日が経ってしまいました。

配信だったのであとで一回は見返そうと思っていましたが、思うように時間が取れずにリアルタイムだけとなりました。

率直な感想はノートに記録しておきました。

野音の選曲はわりと初期曲が多いですけど、今年の新しい発見は「赤き空よ!」(2010)と「穴があったら入りたい」(2012)です。

「赤き空よ!」は2015年の新春コンサート以来、8年ぶりに聴きました。5曲目なので、ちょうど日比谷の空が夕焼けに染まる時間帯にやって映えそうでしたが、今年の野音は雨天だったので少し残念でした。

2010年5月にリリースされた39枚目のシングル「幸せよ、この指にとまれ(初回盤)(ボーナスCD+DVD付)」のカップリング曲です。2007年、UNIVERSALに移籍してから、ゴリゴリのロック感が薄れテイストが変わっていますが、この幸せよ~にはわりと驚かされました(笑)

「赤き空よ!」の歌詞に“古くて新しい明日を運んで来たぜ”ってあるんですけど、まさに野音のコンサートは初期曲から最新曲まで、バランスよく選んでくるLIVEですので象徴する曲ですね。廻り巡ってここまで来たという気持ちを感じます。


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「穴があったらはいりたい」は21枚目のアルバム「MASTERPIECE(初回限定盤)(DVD付)」に収録されている曲です。このアルバム自体なんとなく宮本の破れかぶれ感が否めないんですけど、「穴があったら~」は自虐的というか、ちょっとネガティブな時期に入っていた気がします。でも、この曲がのちのエレカシのスタイルの布石だったのかもしれません。

宮本はヘビースモーカーでこのMVでも、咥え煙草のシーンがあります。カッコイイ!という彼の象徴的な姿でもあるのですが、のちに彼は禁煙して煙草を辞めます(笑)


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祈るような気持ちで活動していた2010年~2012年までの2年間で、何か答えを見出しはじめたのか・・・3年後の2015年の野音で「RAINBOW(通常盤)」を発動!エレカシ宮本の新しいロックが帰ってきました。

2023/10/08(日)
日比谷野外大音楽堂 concert 2023 セットリスト

01.地元のダンナ
02.いつものとおり ※7年ぶり
03.もしも願いが叶うなら ※8年ぶり
04.季節はずれの男 ※8年ぶり
05.赤き空よ! ※8年ぶり
06.デーデ
07.珍奇男
08.穴があったら入いりたい ※10年ぶり
09.四月の風
10.さらば青春
11.甘き絶望 ※14年ぶり
12.武蔵野
13.Baby自転車 ※7年ぶり
14.流れ星のやうな人生
15.悲しみの果て
16.はじまりは今
17.星くずの中のジパング 🈠
18.パワー・イン・ザ・ワールド
19.No more cry 🈟
20.シグナル
21.友達がいるのさ
22.RAINBOW
23.so many people
24.yes. I. do
25.ズレてる方がいい
26.俺たちの明日
27.ファイティングマン

=アンコール=
28.星の降るような夜に
29.今宵の月のように
30.花男

7年~14年ぶりにLIVEで聴く(配信だけど)曲があり、こうしてみるとぜひ会場で聴きたかったなぁ・・・そんな思いになります。

「甘き絶望」は14年ぶり2回目なのでどんなだったか?エレカシの初コンサートが2009年4月の桜の花舞い上がる武道館で、この時に初めてLIVEで聴きました。アルバム「町を見下ろす丘」(2006)の収録曲です。東芝EMIから出した最後のアルバムですが、このEMI期はエレカシの活動も少なく、宮本自身も苦しい時期だったようです。私自身ポニーキャニオンで一度ファンになって離れていた時期。しかし、UNIVERSAL MUSICで出戻りファンになって、このEMI期のアルバムを聴いて断然、この時期の楽曲が好きになりました。

「甘き絶望」もそうですが、EMI期の楽曲の歌詞には心情・光景が全部反映していて、世代によっては恐らくビシビシ共感を呼ぶ世界観です。“夢も希望もまどろんでる・・・”こんな表現はそれを味わっていないと出てこない言葉ですから・・・。

30曲中、定番曲も含め13曲が2016年の野音と選曲が被っています。この2016年の野音では「ついて来させてやるぜ」と宮本がMCで語った時の野音です。

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毎度、野音では宮本がその時にやりたい曲を選んでいますが、「いつものとおり」に関してはアルバム「奴隷天国」(1993)に収録されてる曲で、確かこの頃は宮本の個人的なことで、LIVE活動をやっていなかった時期でレコ発ツアーもなく、野音で主にやっていた感じ*1ですね。

そういう意味ではエレファントカシマシとしての活動が、しばらくぶりではあるのでこの「いつものとおり」はちょっと意味があるような気もします。

それから「Baby自転車」はシングル「孤独な旅人」のカップリング、アルバム「ココロに花を」(1996)の収録曲で、レコ発ツアーで披露されていますが、その他のLIVEではそんなにやっていない曲で、私も7年ぶりに聴きました。私が初めて買ったエレカシのアルバム「ココロに花を」の中で、大好きな曲なので聴けて嬉しかった。

印象的なのは今回の野音“夕暮れ”を意識した構成なのかな?ってことです。「さらば青春」も夕暮れ時の男女の様子、美しい夕暮れ時の風景に見惚れる余裕もなかった・・・精神的に大人になっていく様を唄っていますね。

「さらば青春」はシングル「風に吹かれて」(1997)と両A面(CDの場合はなんという?w)でリリースされました。ベストアルバム「sweet memory~エレカシ青春セレクション~」に収録されています。

2023年の野音は・・・ギターのサポートを入れず、細海魚さんをキーボードに迎えて、完全なエレファントカシマシを見させてもらいました。

宮本の無駄な動きとMCに頼らない、黙々と歌を聴かせ魅せるステージ・・・、「僕らこうして大人になってゆくのさ・・・」と遠い昔に夢見た姿が今の自分で、苦しかった過去の自分を抱きしめるけど、今は遠い思い出になったそんな俯瞰して歌っていたように思う。

まるで、若い頃に描いていた理想の大人と、今の自分を照らし合わせるように過去曲を現実的に表現していたと感じました。

野音やLIVEで何度もやってきた曲でも、ソロ活動前は頑張ってきた自分への称賛も含み、辛い思い出を歌にぶつけていた感じでしたが、今回は全てを優しく愛おしく歌っていた気がしました。

感極まって・・・はいつものことだけど「はじまりは今」で涙ホロリしました。でも、もう泣かないでと新曲の「No more cry (通常盤)」でそのことを唄い現わしていますね。

“なんでぇ、結局、何も変わりゃあしねぇ”

“今の自分を信じてみなよ”

今までは自分で自分に言い聞かせて励ました曲も、今年の「流れ星のやうな人生」はエレファントカシマシは何も変わっていない・・・だけど古くて新しい、今の俺たちを信じてみなよ・・・と訴えているように聞こえた。

2016年の「ついて来させてやるよ」発言とは変わり(笑)、「俺たちを信じてみなよ」って言ってるよね。

エレファントカシマシもデビューから35年経ち、いろんな層のファンができ、それぞれに思い入れのある時代に傾倒するんだけど、彼らにとってはどこをとっても何かしら苦しいさがあって、その中で必死に音楽活動をしてきたでしょうから、どの時代のエレカシも愛でたいと思う。

つまり、今は私自身も大人になって・・・激しさよりも、噛みしめ慈しむようにエレカシの楽曲を聴きたくなったせいもありますが、宮本の歌うスタイルがこの思いに叶っていました。

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2022年の野音エレファントカシマシを昇華させるための模索”だったと表現しましたが・・・まさに、2023年の日比谷野外大音楽堂コンサートは、昇華したエレファントカシマシでした。

なんていうか・・・真のプロになった感がにじみ出ており(笑)この上で、いろんなゲストプレーヤーを交えたLIVEができるのでは?・・・始まるのでは?と思います。

どんなパフォーマンスになっていくのかこれからも楽しみです!

*1:エレカシDB様を参照